大学院進学と就職、進路の判断基準は?

大学院

さとぱん博士です。普段は博士研究員(ポスドク)として研究に明け暮れています。

大学院に進学するか就職するかで迷っている方もいらっしゃるかと思います。

この時期であれば、就職希望から大学院進学希望に切り替えるのにまだ間に合います。

※2021年5月3日記事公開

さすがに逆は厳しいと思いますが…

この記事では、そんな方々のために大学院進学に向いている人と向いていない人の特徴を教えます。

私も研究室配属当初は就職希望でしたが、実際に研究に触れて楽しいと感じたため大学院進学を決意し、現在は博士課程まで進んで研究に打ち込んでいます。

この記事が、大学院に進学するか迷っている方の進路選択の判断材料になれば幸いです。

長々と説明しますが、私が最も伝えたいことは将来研究職に就きたければ進学すべきという事とモラトリアムの延長が進学目的なら就職すべきという事です。

大学院進学に向いている人の特徴

初めに、大学院進学に向いている人の特徴についてです。

以下の3点のうちいずれか1点でも当て嵌まれば、大学院進学に向いていると思います。

  1. 企業・アカデミック問わず、将来は研究職に就きたい
  2. 研究が大好きである
  3. 将来は海外の企業で専門職として働きたい

特に、上の2つが大事な理由かと思います。

企業・アカデミック問わず、将来は研究職に就きたい

1つ目は言わずもがなという感じです。

アカデミックな職場(大学等の学術研究機関)で研究者として働くには、博士号は必須です。

企業の研究職も修士課程は出ていないと相手にしてくれないと思っておいた方が良いでしょう。

最近は、上場企業で働く研究者となってくると、大半が博士号保持者という感じがします。

私の指導教員の友人が経営している某自動車部品メーカーの研究開発部の方々とお会いしたことがありますが、部署の職員全員(5,6名程度?)が博士号保持者で、しかもほぼ全員が旧帝大・東工大の出身でした。

時々、学部卒でも研究職として雇ってくれる企業もあるようですが、電話番や清掃員に回されることもあるようです。

良くてもルーチン作業要員といったところかと思います。

研究職に就きたければ大学院に進学すべき!

研究が大好きである

やはり研究が大好きであれば、大学院に進学して研究を続けるべきだと思います。

上述の1.と被りますが、研究が大好きであれば大学院に進学して研究技術を磨き、修士課程や博士課程修了後は研究職に就くのがベストかなと思います。

そもそも論になってしまいますが、本来大学や大学院は学びたいことを学ぶ場所なので、研究が大好きであれば大学院に進学して研究技術を学ぶべきだと思います。

研究が大好きだけど就職した方の中には、社会人学生として、もしくは退社して大学院に戻ってくる方もいらっしゃいます。

なので、研究が大好きであれば、大学卒業後にそのまま大学院に進学して研究に打ち込むべきだと思います。

ただし、経済的理由で進学が難しい場合は、一旦就職してお金に余裕が出てきた頃に社会人学生として入学するのもアリかと思います。

研究が大好きであれば大学院に進学すべき!

将来は海外の企業で専門職として働きたい

これに関しては、身近な方で海外に就職した方がいないため、噂話をもとに書いています。

そのため、あくまで参考程度に留めて頂けると幸いです。

日本だと大卒の新卒一括採用が主流なので、イメージが湧かないかと思いますが、海外には即戦力になる人をキャリア採用で雇うのが主流の国もあります。

実際に、日本では就職面接で志望理由や学生時代に力を入れたこと(ガクチカ)を聞かれることが多いですが、海外では所持スキルを聞かれることが多いようです。

大学院(できれば博士課程)を出ていれば、自身の専門分野に関連する事業を扱っている企業から即戦力になると判断してもらえ、採用に繋がります!

あと単純に高位の学位を持っているほど高く評価されるようです。

海外企業だと博士号保持者のエンジニアが割と普通にいて、東大・京大等の一流大学を卒業しても学部卒だと惨めな思いをしたり見下されたりする、という話を聞いたことがあります。

また、これは実例ですが、私が通っている大学院の博士課程に、大手外資系企業で働いている方が在籍していますが、その方が言うには「名刺にPh.D(博士号のこと)の記載がないと取引先が相手にしてくれない」との事です。

大学院進学に向いていない人の特徴

対して、大学院進学に向いていない人の特徴は以下の通りです。

以下の2点のうち1点でも当て嵌まれば、申し訳ないですが大学院進学には向いていないと思います。

  1. モラトリアム期間を延ばしたいから進学したいと思っている
  2. 同級生が進学するから、とりあえず自分も進学しようと思っている

モラトリアム期間を延ばしたいから進学したいと思っている

この理由で進学を考えている方、意外と多いのではないでしょうか?

ところが…

コレ、一番最悪なパターンです!!

私の身の回りで『モラトリアム期間を延ばしたい』という理由で進学した方は、例外なく後悔しています。

中には、大学院生活に耐えられなくなって中退した人もいます。

私も大学院に進学して思いますが、大学院生活は全然モラトリアムなんかじゃありません

まず、大学とは違い、大学院では基本的に長期休暇は貰えません

よほど緩い研究室でない限り、お盆休みと年末年始休み(運が良ければ1週間程度の春休みも)が貰えるかどうかです。

しかも、週休0か1日という研究室も珍しくないです。

さすがに常時週休0日の研究室は、ブラック研究室くらいだと思いますがw

私は化学専攻に所属していますが、過半数の研究室が週休1日制です。

中には、毎日朝8~9時に来て、夜10~11時まで実験している研究室もあります。

また、学会発表や修論・博論の準備期間は、約2週間は休日を返上して缶詰め状態になることもあります。

私もストレスと疲労が原因で、とある学会発表の準備期間中に下痢が続いて切痔になったこともありますし、修論発表の準備期間中には廊下を歩いてた時に一瞬意識を失ったこともあります。

加えて、完全ボランティア(むしろ学費を払っている)で研究室の雑務を任されることも結構あります。

こんな感じなので、下手すると社会人より忙しいです。

これを読んだ方は、『モラトリアムを延ばしたいから大学院に進学しよう』という考えは捨てるべきだということが分かったかと思います。

モラトリアム期間を延ばしたいという理由で大学院に進学するのはNG!

同級生が進学するから、とりあえず自分も進学しようと思っている

研究が好きであれば、この理由で進学しても良いかもしれませんが、そうでないならオススメしません。

結局、研究が好きでなければ、どんな理由で進学しても後悔するのがオチです。

そもそも、あなたの人生を切り拓くのはあなた自身です。大学の同級生ではありません。

他人に流されずに、自分の進路は自分で決めましょう。

ここでは述べませんでしたが、運悪くブラック研究室に配属されてしまった方も大学院進学は辞めておいた方が無難かと思います。

進学するとしても、他大学の研究室に進学することを勧めます。

(進学希望の研究室もブラックでない事を調べる必要はありますが)

ブラック研究室のざっくりした見分け方についても、今後書いていければと思います。

まとめ

最後に、この記事で特に伝えたい部分を、箇条書きで纏めさせて頂きます。

  • 将来、研究職に就きたいなら大学院に進学すべき
  • 研究が大好きならば大学院に進学すべき
  • モラトリアムの延長が進学目的なら就職すべき
プロフィール

さとぱん博士

29歳の博士研究員(ポスドク)
学部生時代に留年したが、大学院入試では筆記試験が免除され、修士課程修了時には奨学金の返還が半額免除された
加えて学振DC2に採用され、博士課程の途中まで借りていた奨学金の返還が全額免除された
学位取得と同時に学振PDに資格変更し、ポスドクとして研究に従事している
塾講師として2年連続で高校受験生全員を第一志望合格に導いたこともある
趣味: カラオケ、アニメ、マンガ、マギアレコード、etc...
※学振研究員が副収入を得るためには受入研究者の許可が必要ですが、AdSense広告では累計収益が8000円になるまで報酬が支払われないため、支払い開始までは広告を貼らせて頂きます。
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