さとぱん博士です。普段は博士研究員(ポスドク)として研究に明け暮れています。
博士課程に進学希望であったり、在学中の多くの方々が学振に申請するかと思います。
そんな学振ですが、今年春の申請分(令和4年度採用分)から大きく変わったことがあります。
なんと…
【現在までの研究状況】を書く欄が消えました。
前年の令和3年度採用分までは、申請者情報のすぐ後に書く必要がありました。
審査員にとっては一番最初に目に飛び込んでくるページだったので、第一印象に繋がる最も大事な部分でした。
そのため、気合を入れてこのページを書く方が多かったと思います。
ところが急にこの欄が消えたので、学振申請者の中には困惑した方もいたかもしれません。
私も見た直後はビックリして、どのように書いたらいいのか一瞬戸惑いました。
申請書を作り始めた頃は試行錯誤していましたが、最終的には自身のこれまでの研究成果をアピールすることができ、採用内定を頂くことができました!
ここでは、令和4年度採用分の申請で採用内定を頂くことができた私が、【現在までの研究状況】を書くオススメの場所を教えます。
令和3年度採用分と4年度採用分の違い
初めに、令和3年度採用分と4年度採用分の申請書の構成の違いを見ていきます。
ただ、両年度とも最初に申請者情報が入る点は全く同じなので、それ以降の部分の違いを説明します。
令和3年度採用分の申請書の構成
令和3年度採用分の申請書の構成は次のような感じでした。
現在までの研究状況(1.5ページ) | |
これからの研究計画 | (1)研究の背景(0.5ページ) |
(2)研究目的・内容(0.5ページ) | |
(3)研究の特色・独創的な点(1ページ) | |
(4)研究計画(1ページ) | |
(5)人権の保護及び法令等の遵守への対応(0.5ページ) | |
研究遂行能力(1ページ弱) | |
研究者を志望する動機、目指す研究者像、アピールポイント等(1ページ) |
各項目のページ数はざっくりしたものなので、厳密には少し異なるかもしれません。
【これからの研究計画】の前に【現在までの研究状況】を書く構成になっていることが分かります。
私は実際にこの年に申請しましたが、研究計画の(2)研究目的・内容が0.5ページというのは少なすぎて纏めるのが大変でした。
なんせ『研究目的・方法・内容』、『どのような計画で、何を、どこまで明らかにしようとするのか』、『所属研究室との関連における申請者が担当する部分』。『異なる研究機関での研究について(必須でない)』を0.5ページに盛り込まないといけなかったので…(^^;
また、研究業績は【研究遂行能力】に書くようになっていました。
令和4年度採用分の申請書の構成
一方、令和4年度採用分の申請書の構成は次のような感じでした。
研究計画 | (1)研究の位置づけ(1ページ) |
(2)研究目的・内容等(2ページ) | |
人権の保護及び法令等の遵守への対応(1ページ) | |
研究遂行力の自己分析((1),(2)合わせて2ページ) | (1)研究に関する自身の強み |
(2)今後研究者として更なる発展のために必要と考えている要素 | |
目指す研究者像等((1),(2)合わせて1ページ) | (1)目指す研究者像 |
(2)上記の「目指す研究者像」に向けて、特別研究員の採用期間中に行う研究活動の位置づけ |
前年度と比較すると、大分構成が変わったことが分かります。
特に、一番大きな変化は【現在までの研究状況】を書く欄が消えた事かなと思います。
前年度ではこれからの研究計画の(3)に書いた『研究の特色・独創的な点』は、研究計画の(2)研究目的・内容等に書くようになりました。
また、研究業績は研究遂行力の自己分析の(1)研究に関する自身の強みに書くようになりました。
これについては前年同様、業績に絡めて自身の研究遂行能力を書くような感じになっていました。
新様式では『現在までの研究状況』を書かなくてもいいのか?
結論から言うと、
絶対に書いた方がいい
です。
令和2年度採用分までは、現在までの研究状況を踏まえて計画を立てるよう明記されていました。
令和3年度採用分以降は明記されていないものの、現在までの研究を踏まえて計画を立てることを前提としている可能性はあります。
そのため、現在までの研究内容や成果に言及した上で、それを踏まえて計画を書くのが無難だと思います。
また、現在までの研究成果を書くことは、自己アピールに繋がります。
逆に、これまでの研究成果をアピールしないのは勿体ないです。
特に、採録済み(もしくは受理されて採録決定済み)の学術論文がある方は、是非とも申請書に書いてアピールしましょう。
現在までの研究状況を書く場所は?

令和4年度採用分から【現在までの研究状況】を書く欄が消えましたが、前章で書いた方が良いと述べました。
しかし、一体どこに書けば良いのでしょうか?
私が考えるに、次の2ヵ所に書くのが無難だと思います。
- 研究計画内の(1)研究の位置づけ
- 研究遂行力の自己分析内の(1)研究に関する自身の強み
実際に、私はこの2ヵ所に現在までの研究について記載し、採用内定を頂くことができました。
研究計画内の(1)研究の位置づけ
最初の候補は『研究計画内の(1)研究の位置づけ』です。
ここでは研究背景を書くことが求められていますが、その中で自身の研究を述べると良いでしょう。
私は、以下の画像のように研究背景の第二段落に書くのがベストだと思います。

※サンプルなので内容は適当です。
実際に、私もこの位置に現在までの研究について書き、採用内定を頂くこともできました。
また、採録決定済みの論文がある場合は、サンプルのようにここでアピールすると良いと思います。

掲載受理されたが巻号等が決定していない場合は、引用文献には”accepted”もしくは”in press”と書くようにしましょう。
この場合、本文には『この内容を纏めた論文は、○○誌に掲載受理されている。』と書けば大丈夫だと思います。
(実際に私もそのように書きました)
審査員が最初に目にするページなので、ここで論文をアピールすると好印象を与えられると思います。
むしろ、数年前の申請書に慣れきっている審査員は『これまでの研究状況を踏まえて計画を立てる』ことを期待している可能性があります。
そのため、最初のページに現在までの研究について書かないと違和感を与える恐れもあります。
研究遂行力の自己分析内の(1)研究に関する自身の強み
そもそも、ここは研究業績を基に自身の能力をアピールする場所なので、業績を書かない訳にはいきません。
特に、発想力、問題解決力、知識の幅・深さ、技量については、業績を引用しながら書くと客観的に研究遂行力をアピールしやすいと思います。
業績皆無の人が「私は優秀な研究者だ!!」とアピールしても、審査員の大半に優秀だと評価されるのは難しいのでw
ただし、注意点もあります。
それは、初登場の専門用語に気を付けながら説明することです。
博士課程への進学を考えている、もしくは在学中の方であれば、一つのテーマに限らず種々の研究をこなしてきた方も多いのではないでしょうか。
特に複数の学術論文や学会発表等の実績がある方は、それらの中で種々の研究の成果を報告してきたことと思います。
これらを上手くアピールできれば、幅広い研究技術や知識を持ち、かつ速やかに結果を出せる優秀な若手研究者という好印象を与えることができるかもしれません。
しかし、専門用語に気を付けないと、審査員が読んでも理解できず、悪印象を与えかねません。
まとめ
令和4年度採用分から書く欄が消えた【現在までの研究状況】をどこに書けば良いのか説明してきました。
結論としては、次の2ヵ所に書くのがベストだと思います。
- 研究計画内の(1)研究の位置づけ
- 研究遂行力の自己分析内の(1)研究に関する自身の強み
前者については第二段落辺りに書くのが良いと思います。
最後になりますが、学振研究員を目指す皆様がより良い申請書を作成でき、採用されますことを心より願っています。
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