さとぱん博士です。普段は博士研究員(ポスドク)として研究に明け暮れています。
ここ最近体調を崩しており、また超多忙だったため、なかなか更新できておらず申し訳ありません。
ところで先月、日本学生支援機構(JASSO)からハガキが届いたので確認したところ…
なんと、博士課程2年次の時に借りていた奨学金の返還が全額免除されました!

返還免除審査の申請者の中では業績が少ない方だったので、全額免除されるとは思ってもいませんでした。
この話はさておき、博士課程在学中でJASSOから奨学金を借りている方の中には、どの程度の業績が必要なのか気になる方もいらっしゃるかもしれません。
そこで、実際に返還が免除された博士課程学生の一例として、奨学金返還免除審査の申請時点での私の業績を公開します。
※ここで公開する業績があれば必ず返還が免除されるとは限りませんので、あくまで免除者の業績の一例として参考程度に留めておいて頂けますと幸いです。
奨学金返還免除とは?選考方法は?
奨学金返還免除とは、JASSOの第一種貸与型奨学金を受給している大学院生を対象とした制度で、正式名称は『特に優れた業績による返還免除』です。
その名の通り、優れた研究業績を残したと認められた学生は奨学金の返還が免除されます。
選考方法や基準は大学によって異なりますが、基本的には学内の奨学金受給者の上位3人に1人が返還免除されます。
また、修士課程と博士課程は別々に審査されます。
詳細は私の過去記事に記載してありますので、そちらを参考にして頂ければと思います。
選考方法ですが、先ほど述べたように大学によって異なります。
業績や研究内容等を記載した書類を提出し、教授会等で返還免除候補者を選定することが多いようですが、中には全く異なる方法で候補者を選定する大学も存在します。
ちなみに私が所属する大学院の博士課程では、以下のように選定が行われました。
- 申請書(研究内容・業績・返還免除を希望する理由を記入)を所属専攻に提出
- 所属専攻の教授・准教授の前で、5分でプレゼン、10分間質疑応答
- 上記1,2の結果をもとに、(専攻ではなく)研究科の教授会にて申請者に点数・順位を付ける
- 学内で取り纏めて上位9人に1人が全額、9人に2人が半額免除となる
なお、1で作成した申請書は学内オリジナルのものであり、学振のものに似た形式でした。
JASSO指定の書式の申請書は、3の直前に提出しました。
私の研究業績は?
奨学金返還免除審査の申請時点での、私の研究業績は以下の通りでした。
- 研究論文1報
- 学会発表14件(国際・国内学会ともに7件)
- 学業成績:履修科目の約9割が秀、約1割が優
- リサーチアシスタント(RA)の勤務経験あり
- 日本学術振興会特別研究員(学振)DC2採用内定
私の場合は学位取得でなく学振DC2への採用内定時点での返還免除だったため、学位論文はありません。
前述の私の大学における選考の1,2の申請書やプレゼンではB4からの全業績を記載しましたが、JASSO指定の書類では博士課程在学中の業績のみを記載しました。
後者の書類に基づいて審査を行う大学が多いと思いますので、ここでは博士課程在学中の業績のみ記載しています。
ちなみに、修士課程までの分も併せると、学会発表は26件(国際学会11件、国内学会15件)になります。
研究論文は博士課程で初めて出したので、修士の分を合わせても1報です。
研究論文・学会発表
一般に研究業績としてカウントされる研究論文と学会発表ですが、研究論文が最も高く評価されます。
また、国際学会での口頭発表も論文ほどではないものの、かなり評価されます。
私は第一著者として論文を投稿し、インパクトファクター(IF)が5くらいの学術雑誌に受理・掲載されました。
この業績が全額返還免除の決め手になったように感じます。(もちろん学振DC2採用についても)
修士課程では研究論文0報でも返還免除を狙えますが、博士課程では厳しいように思います(そもそも0報だと学位取れないので)
続いて、私が行った学会発表の詳細な内訳(国内外や登壇・非登壇について)は以下の通りです。
国際学会 | 登壇者 | 口頭発表 | 2 |
ポスター発表 | 0 | ||
非登壇者 | 口頭発表 | 5(招待講演1、基調講演1) | |
ポスター発表 | 0 | ||
国内学会 | 登壇者 | 口頭発表 | 3 |
ポスター発表 | 1 | ||
非登壇者 | 口頭発表 | 3(基調講演1、特別講演1) | |
ポスター発表 | 0 |
基本的には自身が登壇者の講演しか評価されませんが、申請書には非登壇者の講演も記載した方がベターです。
ちなみに私が登壇者として発表したものは6件でした。
修士課程では8件だったので、博士課程の方が少なかったですw
コロナ禍で多くの学会が中止になったり、また盛大に体調を崩していた時期があったため、発表件数が少なくなってしまったのだと思います…
とはいえ、自分で言うのもおかしいですが、このような中で国際学会での口頭発表を2件行ったのは頑張ったように思います。
その他の業績
奨学金返還免除審査では、研究論文・学会発表以外にも授業科目の成績、TA・RAでの勤務経験なども業績としてカウントされます。
初めに授業科目の成績ですが、私の場合は約9割の科目が秀、その他の科目が優だったので、かなり良かったです(GPA換算で3.9程度)
RAについてですが、私が所属する大学には、教員の研究費を原資として博士課程学生(もしくは学位取得を目指すオーバードクター)をRAとして雇用できる制度が存在します。
私は、直属の指導教員の研究費から人件費を捻出して頂いておりました。
給料を頂くことができ、しかも奨学金返還免除にも繋がったので、人件費を捻出して下さった指導教員には今でも心より感謝しております。
また、私は学振DC2の採用による奨学金貸与の停止だったので、その事も業績としてカウントされました。
私は上記の業績で奨学金の返還が全額免除されました。
ただし、最初でも述べましたが、私と同程度の業績であっても必ずしも返還免除されるとは限らないので、あくまで返還免除者の一例として参考にして頂ければと思います。
業績が少なくても諦めずに申請しよう!
修士課程向けの過去記事でも述べましたが、業績が少ないという理由で初めから諦めて返還免除審査にエントリーしない人が時々います。
しかし、私も論文1報にも関わらず、学位取得者と同じ土俵で審査され、上位9人中1人に相当すると評価され、全額返還免除されました。
学位取得者の中には、高確率で論文2報以上の方がいらっしゃるにも関わらずです。
このように、他の申請者に比べて業績が少ない場合でも高く評価され、半額は勿論のこと全額返還免除になることさえあり得ます。
中には論文0報で学振DC2に採用され、奨学金貸与を辞退する方もいらっしゃるかもしれません。
そのような方も奨学金の返還が免除される可能性が0%ではないので、申請すべきだと思います。
まとめ
最後に、この記事の要点を纏めます。
ここでは、博士課程における奨学金返還免除の概要と、実際に返還が免除された一例として私の研究業績を述べてきました。
奨学金返還免除とは、JASSOの第一種奨学金を受給している大学院生のうち、優れた研究業績を残したと認められた学生は奨学金の返還が免除される制度の事でした。
この制度の大きな特徴として、全国ではなく学内で上位3割に入れば良いということが挙げられます。
この制度で奨学金の返還が全額免除された私の業績は以下の通りでした。
- 研究論文1報
- 学会発表14件(国際・国内学会ともに7件)
- 学業成績:履修科目の約9割が秀、約1割が優
- RAの勤務経験あり
- 学振DC2採用内定
私は研究論文1報でしたが、学位取得者(2報以上の方もいるはず)と同じ土俵で審査され、上位に入ると評価され、全額返還免除となりました。
このように、他の申請者に比べて業績が劣っていても、より上位に入り、返還が免除される可能性もあります。
中には、論文0報で学振DC2に採用され、奨学金貸与を辞退する方もいらっしゃるかもしれません。
そのような方も返還が免除される可能性がありますので、申請することをお勧めします。
ただし、ここに掲載した私の業績は飽くまで返還免除者の一例として、参考程度に留めて頂けますと幸いです。
というのも、私と同程度の業績であっても返還が免除されるとは限らず、また私より業績が少なくても返還免除になる可能性もあるからです。
最後の最後にも口を酸っぱくして言いますが、たとえ業績が少なくて自信が無かったとしても、奨学金返還免除に申請することを強く勧めます。
コメント